地元って?

自宅の近くに、一年ほど前喫茶店ができました。
そのお店は、自宅からの出勤途上にあり一度は寄ってみたいと思っていました。

お店の名前は「すぎうら」と言います。
生まれ育った「地元」の喫茶店・・・「懐かしい何かを」・・期待して入ってみました。

日曜日の朝と言うことで、「地元」の若いご夫婦数組で賑わいを見せていました。
一人も知った地元の顔はありませんでした。お店の人も知りませんでした。
当然、私が求めた・・・「懐かしい何か」・・のかけらもありませんでした。

コーヒーを黙って飲んで、お店を出ました。
名古屋市内とは言え、東の一番外れの喫茶店・・コーヒー¥480はとても高く感じました。
生まれた、育った、今も住んでる、だけで、そこは私の「地元」ではなくなっていました。





一週間前に立ち寄って寂しい思いをした「喫茶店」の斜め前に、華厳宗「聖願寺」と言うお寺があります。
私の小学校時代の同級生が住職をしております。

住職は地元では人望が厚く、ご自身が住職になられてから檀家をたくさん増やして、とても忙しい人と聞いていました。
お寺へ行けば住職に会える。懐かしい本堂へあがってお参りしよう・・・

参拝者用の砂利の駐車場に車を止めて、本堂へ向かおうとして、変な気持ちになりました。
屋根つきの立派な駐車場が2台分あり、レクサスともう一台は最終型のセルシオ両方とも黒いくるまでした。
きっと、住職のくるまと、ご家族のものでしょう。

本堂の前に立って、また、変な気持ちになりました。
木造だった本堂が、コンクリート作りになっていました。
山の中にあった、「地元」の懐かしい・・あのお寺の筈が・・・


小銭入れの中に、1円玉・5円玉・10円玉・50円玉・100円玉・500円玉いろいろ入っていました。
お賽銭箱には、「5円玉」を入れました。
それ以上は私の気持ちが許してくれませんでした。


場所は確かに同じ場所・・・

地元の、あのお寺が・・・

どうにも納得できない、そういう私は、すっかり・・「地元の人」ではなくなっていました。


地元
と思っていたところが地元ではなくなっていました。



自分はよそから来た、「しんざんもの」と思っていた豊田市が、私の「地元」なのでした。





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