創業当時のルート

O氏が入社してくれて、57年12月に、夢であった、月販、100台を達成することが出来ました。

IT時代の今は、少ない展示車で、ネットを使って販売と言うことが多くなりました。

あの当時は、沢山の展示車から選んでいただく時代でした。

最高の回転は、一ヶ月1回転といわれておりましたので、当社の、5台展示100台販売は驚異的といわれました。

復活ルートは、また、全国的に有名になり、全国から、沢山の見学者が訪れました。


O氏が入社してから、O自動車整備の債権者が、入れ替わりおとづれるようになりました。

大きな声で、威喝する人。何時間もひそひそ話をしていく人。

どうにも避けられない返済は、私が立て替えておりました。


月々の給料から返済してはもらっていましたが、一年目は増える一方でした。

入社から、1年経った頃、ついに800万円を越してしまいました。

もうこれ以上だめ!ルートがだめになってしまう!とても、心配になってきました。

その頃から、他のスタッフから、O氏の行動に不審がある旨の情報が、よく私の耳に入るようになってきました。

でも、車はよく売ってくれていましたし、ここまでお金を貸し込むと、貸したほうが弱くなっていました。


1年6ヶ月勤務した、59年2月のことです・・・・

経理から・・社長ちょっと、おかしいです。

「車を買わせてもらった、保見町の〇〇さんの支払い口座が、中京(その頃は、相互銀行でした)の豊田になっています。」

個人の方の、口座は、自宅近くか・勤務地近くがほとんどでしたので、保見の方が、ルート近くの口座はおかしいのではと言うことでした。

私は、それを聞いて、確かにおかしいから確認が済むまで入金はしないように、と指示しました。

お客様に問い合わせの電話を入れたところ・・・

「えっ!」「息子は数日前に交通事故で亡くなりました。」「お宅へ車を売っていたのですか?」

「息子の口座は、中京相互にはないですよ!」の返事でした。

当時は、認印一つで口座が出来た時代でした。口座の番号は、前日に発行されたもの、本人がなくなってから作製されたものとわかりました。O氏に問いただしたところ・・「申し訳ない」と白状しました。


犯罪にはなりませんでしたが・・・・O氏にはやめてもらうことにしました。「次の仕事が見つかってから、返済は続けなさい」と言うのが精一杯でした。

O氏のお母さん・奥さん・子供さんのことを思うと、胸が痛くなりました。

でも絶対許すことは出来ない・・夜、家族そろって、私のところへ来たらなんと言おう。突っぱねることができるか?

悩んだ末、その夜は、ホテル豊田キャッスルへ身を隠すことにしました。

その後彼は、名古屋でタクシーの運転手をしていました。給料から少しづつは返してくれていました。


それから2年近く経った頃当社は岡崎に営業所を設けることにしました。

もう改心したはず。そして私としては、どうしても又彼の販売力が必要と思うようになりました。

まるで、私は、彼に対して、麻薬中毒患者のようになっていました。

今度は、Gと言う偽名で仕事をしてもらうことにしました。これ以上立替は増やせない。以前の債権者にわからないようにするために・・・

次の事件は、1年6ヵ月後に発覚しました。

お客様、一人から35万円、もう一人から10万円返す当てのないお金を借りていることが発覚しました。

第2回目やめてもらいました。又彼は同じタクシーの仕事を始めました。


それから、4年が経ちました。私の、彼に対する、麻薬中毒症状がでていました。

彼も、50歳に近くなっていました。

「タクシーは身体にこたえる。今度こそ、身体の続く限り、社長にお返しする・・」

中毒症状と言葉にほだされて、再・再度来てもらうことにしました。

今度は自分では売らない。営業マン指導ということで・・・(今度こそ、お金で失敗しないぞ!)・・と思っていました。


2年勤めてくれました。

部下と2人だけの、夜の岡崎店で、部下の集金したばかりのお金が、金庫からなくなってしまいました。

岡崎店に部下の人から呼ばれていきました。

いきさつを聞いて、Oにお前だろうと、激しく迫りました。

Oには又やめてもらいました。

これで3度目・・・「もう麻薬の禁断症状には耐えるぞ!!自分がしっかりしなくては!」と反省しました。

残念なことに、一緒にいた部下氏も、絶対O氏だという証拠がない限り、私も責任を取ると言って退社してしまいました。


あれからすでに14年、O氏は65歳・・今何をしているか?・・・立て替え金の残額は、180万円迄減っていました。

その後は、私の「禁断症状」が起きないように、社員教育に力を入れるようにしています。


O氏は、当社の成長に本当に力になってくれました。

まずかった行為の分を差し引いても、大きなプラスを残してくれたと、今では感謝さえしています。

美人には、トゲがある・・・


良く売る人には、悪が潜んでいる、ということなのでしょうか?


今だから言えることです。

        つづき、又書きます。








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