白馬岳遭難死に思う

昨日(5月4日)朝北アルプス、栂池(つがいけ)を出発して白馬岳に向かっていた、北九州からの
高齢者のパーティー6人が行方不明になっていることをニュースで知りました。

このパーティーは、
63歳から78歳の男性ばかりで、
リーダーは75歳の方だったそうです。

このニュースを知った昨夜は、
63歳から78歳の男性ばかりのパーティーだから
きっと、どこかの山岳会か、大学山岳部のOBで
山の超ベテラン揃いだろうと思っていました。

携帯が鳴っているにもかかわらず、
応答がないということで一抹の不安はありましたが・・・
天候の急変で、途中の白馬大池から小蓮華山あたりで
雪洞を掘ってビバーク(緊急野営)しながら、
天候の回復を待っているだろうと
あまり気にも留めていませんでした。

ところが・・朝になり、
別の登山者が小蓮華山頂近くで、倒れている6人全員を発見して、連絡・・
県警のヘリが救助に向かったとのことでした。
そして残念ながら6人全員の死亡が伝えられました。

びっくりしたのは、
全員、雨具(ゴアテックス)を着ていただけの夏山の装備だったそうです。
昨日の稜線近くは、雨のち、吹雪で
一気に体温を奪われた結果身動きできず、
次々と亡くなって行ったものと思われます。



夏山の装備で5月の北アルプスへ入った。
山を甘く見たという次元の問題ではなく、
6人いれば一人くらい、5月の北アルプスが
どんな条件下にあるか調べようとしなかったのか?

そして、山小屋のひとたちが、一目装備を見れば、
素人集団または、超誤装備集団と言うことが見て取れます。
昨日の、天候悪化予測も山小屋ではある程度つかんでいたはず。
なのに・・なのに・・
朝出発前に、なぜとめなかったのか?


標高が高くなれば、気温が下がることくらい、最近では子供でも知っています。
風が吹けば、体感温度が下がることだってみんな知っています。

100メートル標高が高くなると、0・6度下がります。
白馬岳の稜線は、2500メートルから、2900メートルありますから、
平地より、18℃~15℃下がります。
麓の里で、15度ですと、-3℃~0℃で、降れば雪なのです。
加えて昨日は、風が強かったとのことです。
風速1メートルで体感温度は1℃下がるといわれております。


今回の遭難は・・・
泳げない人が、
背丈以上の水の中へ6人手をつないで、
入っていくような・・・
燃え盛る、炎の中へ入っていくような行為で・・
お話になりません。





出発前夜(3日)6人が泊まった山小屋のある
標高1800メートル近辺
今日のライブ映像より・・



5月の栂池自然園近辺
この積雪です。
この近くの山小屋から6人は、出発したと言われています。







これが、夏の白馬岳稜線で、
向こうに見えるのが小蓮華山です




今から・・
45年前 昭和42年5月2日
私と高校時代から、
いつも一緒に山に行っていた友達が、
勤務先(名古屋市役所)の山岳会の仲間と
今回の遭難場所、小蓮華山を縦走中、
700メートル滑落して亡くなりました。

「もう45年になるなぁー」と思っていた矢先に今回の遭難事故です。


45年前当時山を目指す人は、
準備、訓練、装備、行動日の気象条件把握・・・
とても真剣だったと思います。
私の親友も、万全を期して山に臨んだと思いますが、
一瞬の出来事で、転倒して滑落してしまったのでした。


山の上の厳しい条件は、
昔となんら変わっていません。


一部の無知な人の
山への取組姿勢が大きく変わってしまったのだと思います。


健全な中高年の登山者に冷や水を浴びせてしまった・・
今回の遭難事故でした。


私は55歳で趣味を登山からゴルフに変えました。
今はゴルフもほとんどしません。
無趣味はいけないので実は、
「また山へ行きたいなぁ」なんて思っていたのです。

20歳前後に山へ行っていた頃です・・・
あちらの山、こちらの山と駆け足で踏破していた我々の姿を見て、
先輩登山者の方に「神風登山」と批判されましました。

私が、70歳を迎えたのち、再度、登山を始めたら・・
若い人たちに今度は「老いぼれ登山」は辞めてくれと言われるのでしょうか。










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